むくみと鍼灸の考え方

むくみと鍼灸治療

体のむくみは体内にある余分な水分が流れなくなった状態のことをいいます。
この余分な水分がたまっている状態を「湿」といい、さらにこの「湿」に粘りが出て動かなくなっている状態を「痰」といいます。
「痰」は肺で発生しやすいです。
ではどうして「湿痰」になるのでしょう。その原因を考えてみましょう。

湿(邪)によるむくみ

湿(邪)とは日本では、梅雨時から秋雨の湿度の高い季節に発生する外邪です。
湿は陰性の邪気で、下に流れる、たまる性質があるので下肢のむくみにつながります。
また湿は重くて粘着性の特質があるので体に入ると頭が重い、体がだるい、関節が腫れるなどの症状が現れます。
また湿は粘りの性質からこれらの症状を長引かせる可能性があります。
季節の影響(外湿)だけではなく、食生活の乱れ、例えば冷たいもの、甘いもの、生ものなどの食べすぎからくる「湿」を「内湿」といい、これも胃腸(脾)の機能を低下させ、体に湿の症状をもたらします。

五臓の機能低下によるむくみ

むくみのもとになる水分(津液)は肝・心・脾・肺・腎の五臓の中でも特に関係するものは脾・肺・腎です。
他にも三焦や肝、膀胱も関係します。
津液は脾で作られて肺に送られ、三焦を通して全身に散布されます。
そして全身で使われた津液は腎によって回収され、仕分けされきれいな津液(清)は再利用され、汚れた津液(濁)は膀胱を通して排泄されます。
つまりこの一連の津液のサイクルの中でも、どこかの臓が低下しても津液のめぐりが悪くなり、むくみが起こる可能性があります。

脾の働きの低下によるむくみ

脾は「運化水液」といって津液をつくり、運び、流れを調節する働きがあります。
脾のこの働きの低下はむくみの原因となります。

腎の働きの低下によるむくみ

腎は腎主水といって水をつかさどります。
腎の気が低下すると津液の回収や膀胱の調節機能が低下してむくみの原因となります。
中でも「腎陽虚」はこのむくみに冷えが伴う症状となります。

肺の働きの低下によるむくみ

肺には通調水道といって津液を運ぶ働きがあります。
また「粛降」といって体の上部の津液を腎へ送る働きがあります。
肺の機能が低下すると、上の津液を下に送れず顔がむくんだり、尿量減少、肺に痰がからんだりします。

肝の働きの低下によるむくみ
肝には「疏泄」といって水を流す働きがあります。
肝気鬱血で肝の気が滞ると水の流れが低下してむくみとなります。

三焦の働きの低下によるむくみ

三焦は水道調節といって、津液の通りを調節する働きがあります。
三焦の低下は全身のむくみをまねきます。また、下焦は膀胱と関係しています。

膀胱の働きの低下によるむくみ

膀胱は腎気の作用と共同で尿を溜めたり排泄をしたりしています。
この機能の低下もむくみを起こします。

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